レーザーによる椎間板ヘルニアの治療であるPLDDの正式名称はPercutaneous Laser Disc Decompression、日本語にすると「経皮的レーザー椎間板(髄核)減圧術」になります。
椎間板ヘルニアは椎骨と椎骨の間にある椎間板が、強い力が加わることで押され、はみ出てしまった状態です。このはみ出た部分が神経を圧迫するため、痛みやしびれが生じます。
したがって、「神経を圧迫する力」をなくすために、椎間板に、レーザーを当て、飛び出した部分を蒸散させてしまえばいいのです。
椎間板に針を刺してレーザーを照射して、組織を蒸散させると、そこに小さな空洞ができます。
すると、その空洞を埋めるために周辺の組織が中に向かい、外に押す力が弱まるのです。結果的にはみ出した部分が引っ込んでしまう場合もあります。
レーザーは目的のところだけを切ったり焼いたりさせるのがとても得意ですから、椎間板のように小さくて、また複雑な部位にあるものを手術するのに、とても適した技術といえるのです。
手術の流れ
問診後、レントゲンやMRIによる検査を行っていた痛みやしびれの原因がヘルニアであるかどうかの確認をします。治療にPLDDが最適だということがわかったら、患者さんに他の治療法も提示したうえでじっくり話し合いをし、選択していただきます。PLDDを受ける決意をいただいた段階で手術日を決めます。
来院されましたら、術着に着替えて、化膿止めの薬(抗生物質)を服用していただきます。準備が終わりましたら、処置室にご案内します。
手術台に横向きに寝ていただき、局所麻酔を打ちます。切開手術のように全身麻酔をしませんので、危険はほとんどありません。
麻酔が効いてきたら慎重に針を入れていきます。そしてヘルニアの原因となっている椎間板の髄核に針を入れ、レーザーを照射します。
照射が終わったら、ファイバーと針を抜いて完了です。患者さんには、歩いて個室まで戻っていただき、その後1時間ほど休んだら、もう帰宅できます。遠方から来られた方でも、すぐに新幹線に乗って帰られてもかまいません。
切開手術をしたら1ヶ月以上も入院やリハビリをしなければいけないのですが、PLDDなら入院もいらず、たった1日で終わるのです。
しかし、細い頸椎への手術は、PLDDだとしても責任を負うリスクが非常に高いのです。
このため、熟練した自信のある専門医師でなければ施術をしようとはしません。腰椎はOKなのに頸椎のPLDD手術をやりたがらない病院が多いのもこのためです。