さまざまな治療法でも改善が見られず、痛みや痺れに耐えられなくなった場合は、ヘルニアの切開手術が行われています。
手術の方法は、『直視下』『顕微鏡下』『内視鏡下』があります。これらは、患部をどのような方法で見ながら手術するかという違いで、手段は同じ、飛び出したヘルニアの部分を切り取る手術です。
直視下や顕微鏡下は、背中を10数センチ切り開き、筋肉や靱帯、脊髄や神経根などを避けて、ヘルニア部分までメスを入れます。
しかしメスなどの手術器具がヘルニアではなく、脊髄や神経根などに触れ、後遺症が残ってしまうこともありました。また、全身麻酔をかけて行うため、心臓病、糖尿病などの疾患がある方や、透析を受けている方にはリスクが大きいのです。
非常に大がかりな手術であるため、手術後1週間は安静にしていなければならず、その後1ヶ月ほどリハビリが必要で、その間入院しなければいけません。背中に大きな傷が残ってしまうのもデメリットのひとつです。
内視鏡下の手術では、3〜4センチほど切り、手術用の顕微鏡や内視鏡を入れて手術を行います。切開する部分が小さいため出血も少ないというメリットがあります。しかしながら内視鏡下手術は、熟練した技能と経験が必要なので、どの先生も内視鏡下手術ができるというわけではありません。
またどのヘルニアにも内視鏡下手術ができるという訳ではないため、手術前に内視鏡下手術を予定していても、実際には直視下の手術に変更するということもあります。
これらの手術は、後にさらにまた椎間板が押されて飛び出てしまい、ヘルニアが再発してしまうことも少なくありません。突出したヘルニアを削り取るため、大きく削ると、今度は椎間板が緩衝剤としての役割を果たすことができなくなり、痛みが起こる場合もありました。
このため人工骨や金属を入れるのですが、クッションとしての軟骨がなくなった弊害が起こる場合もあります。
こうした事実のため、たとえ症状がひどくても、手術に踏み切れる患者さんは、多くなかったようです。しかしながら切開手術そのものを否定するのではありません。むしろ手術をしなければ治らない方もいます。