PLDDの仕組みとは
レーザーによる椎間板ヘルニアの治療は、PLDD(Percutaneous Laser Disk Decompression)と呼ばれる電磁波を使ったもので、これを日本語にすると「経皮的レーザー椎間板(髄核)減圧術」です。
PLDDは、レーザーによる組織蒸散という方法を利用しています。椎間板ヘルニアは、腰椎と腰椎の間にある椎間板が、押し出されてはみ出てしまった状態を言います。このはみ出た部分を引っ込めるために、椎間板そのものに針を刺して、そこからレーザーを放出させます。
すると椎間板の中に、小さな空洞ができるのです。その空洞をなくすために、椎間板が萎縮します。それにより、はみ出ていた出っ張りがなくなってしまうのです。これがPLDD治療の仕組みです。
PLDDの大きな特徴は3つ。
- 局所麻酔であること。
- 切開しないこと。
- 短時間で終了すること。
まず、1の「局所麻酔であること」。全身麻酔だと患者さんの意識がなくなるため、手術中に医師が患者さんの麻酔の状態などを細かくチェックする必要があります。また、麻酔に詳しい専門医がいた方が安心できます。
しかし、局所麻酔にすることで医師は自分の作業に集中できます。なお、3の「短時間で終了する」にも関わってきますが、全身麻酔の場合、前日の手術準備もあり、入院が必要になります。
また、2の「切開しないこと」で、患者さんの負担も劇的に減らすことができます。麻酔の針やレーザーファイバーを刺すだけなので、出血もほとんどありません。もちろん縫合の作業もないため、手術後に縫合した部位が痛むこともありません。
これまで高齢者の「椎間板ヘルニア」は治療が難しいと言われてきましたが、これだとリスクが少ないため、高齢者の治療が可能になりました。
年齢に関係なく、長年腰痛に悩まされながらも、切開手術のリスクやかかる日数を考えると手術に踏み切れないできた方は多いと思われます。
でも、PLDDなら日帰りでできますし、体にかかる負担もこれまでの100分1、1000分の1と圧倒的に軽減されるようになりました。
こうお話しすると、まるでお手軽手術のように思えてきますが、医者としては「どの程度レーザーを照射すればいいのか」「どの部分に針を刺して照射するのか」など、的確な判断と熟練した技術が必要であり、レーザー治療を行っている腰痛医はまだ少ないのが現状です。