患者さんからしびれ、痛みの場所などの症状を聞いたり、触診することで、だいたいの病名はわかります。
しかし、腰椎椎間板ヘルニアかどうかの診断は、画像を撮ってみないとわからないのです。
身体の内部を撮影する方法としては、主にエックス線、CTとMRIがあげられます。特に椎間板ヘルニアの診断にMRIは不可欠です。
MRIはMagnetic Resonance Imagingの略で、日本語では核磁気共鳴画像法と言います。MRIは、磁気によって体内の水分を測定して、身体の内部の状態を測定する方法のことです。
人体の細胞には、水素原子核(プロトン)というものが含まれています。このプロトンは磁場に反応する性質を持っているのです。そして磁場の中に置かれて振動しているプロトンと同じ周波数の電磁波を与えると、プロトンがエネルギーを放出するのです。これを信号として受け取り、コンピュータ処理をして画像を作ります。エネルギーは、だんだんと放出量が減っていきますが、この衰退の仕方が、問題のあるプロトンと健康なものとで異なるのです。例えば、ガン細胞は、水分量が他の細胞よりも多く、エネルギーを長く放出するため、他の健康な細胞と区別がつきます。
MRI画像は、身体を細かく輪切りにして撮影するため、人体を立体的に撮影することができます。
このMRI画像は、腰椎の後ろを通っている脊柱管をはっきり写すことができます。腰椎椎間板ヘルニアが起こっている場合は、この脊柱管がヘルニアに圧迫されて細くなっているのがすぐに分かるのです。
エックス線だけでは、腰椎椎間板ヘルニアの状態を詳しく知ることはできません。MRI撮影ができる病院は、エックス線に比べると非常に少ないのですが、これ一枚でわかることは、エックス線の比ではないのです。